「ネットワーク」とは、人や物を網状につなげたものの総称です。
身近なところでいえば、人と人が連絡しあうための連絡網や、電車やバスなどの交通網などがあります。複数の人や、物を網状につなげたものが、ネットワークだと言えます。
ここでは、そんなネットワークの中でも、コンピュータ同士が網状につながるための「コンピュータネットワーク」について解説します。
コンピュータネットワークのはじまり
かつては、コンピュータは1台だけで動作していました。1台だけで動作しているコンピュータのことを「スタンドアローン」といいます。
「スタンドアローン」のころの、コンピュータ間のデータの移動には、フロッピーディスクや、磁気テープなどが使われていましたが、データの移動のたびにデータを書き出して、テクテクと他のコンピュータに移動して、データを読み出すのではとても不便でした。
そこで、通信ケーブルを使って、コンピュータ同士を接続する、「コンピュータネットワーク」が誕生しました。これを単に「ネットワーク」とIT業界では呼ばれています。
「コンピュータネットワーク」には大きく分けて、「LAN」「WAN」「インターネット」とありますので、以下でそれぞれについて解説します。
LANとは
「LAN」とは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」のことで、日本語にすると「近接エリアネットワーク」や「構内ネットワーク」とも呼ばれています。
ローカル(=近く)なエリアのネットワークという名前が示す通り、このネットワークが構築される場所は、一般家庭内や、企業オフィス内・工場内など一施設内にエリアが限定された中です。

このような、範囲の狭い中で、複数のコンピュータやプリンタなどを接続するネットワークの形態のことをLANと呼んでいます。
例えば、一般家庭であれば、複数のパソコン同士を接続することで、ファイルなどをやり取りできたり、プリンタも接続することで、わざわざプリンタに特別なケーブルを接続しなくても、どこの部屋からでも、プリントアウトができたりします。
会社内であれば、数百台におよぶパソコンが接続されます。この規模になると、一般家庭内のようにパソコン同士でファイルをやり取りしたりするよりも、サーバーと言われる、ファイルをまとめて保存できたり、会計処理ができたりする特別なコンピュータと通信することがほとんどです。プリンタに関しては、家庭内と同じように、オフィスのどこにいても、プリントアウトできるようにしている会社がほとんどです。
工場内であれば、敷地の広さもありますので、 ファイルなどのデータをわざわざ、数百メートルも離れた、本館の工場内のパソコンに持っていかなければならないような場面を想像すると、さらにネットワークの重要性は高まります。ネットワークの使われ方は、上で解説したような使い方になります。
WANとは
「WAN」とは、「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)」のことで、地理的に離れた、LAN同士を接続するネットワークのことです。
LANでは、上記で解説した通り、広くても工場の敷地ぐらいの広さですが、WANでは、例えば、企業の本社オフィスが東京にあり、支社オフィスが北海道や大阪ある場合など、WANを使用して、相互のLANを接続します。
LANであれば、個人や会社で通信ケーブルを敷設することができますが、さすがに、地理的に離れた場所になると通信ケーブルを敷設するのは困難です。
そこで、WANを使用するためには、NTTやKDDIなどの通信事業者が提供する、専用線サービスを契約する必要があります。
一般的には、通信の速度によって月額が変わってきます。
LANが一度作れば、月額の費用がかからないのに対して、WANはどうしても通信費用がかかるところはデメリットとも言えるかもしれませんが、今までは、郵送で手紙を出していたところが、リアルタイムにメールで連絡することができるようになったり、下記に解説するインターネットように、会社外の人がそのネットワークに接続できない秘匿性があることや、さらに、契約した通信速度を完全に保証するサービスとなっているので、とても便利なネットワーク形態です。

インターネットとは
「インターネット」とは、世界中にある、あらゆるコンピュータが接続される世界規模のネットワークです。
例えば、この記事を読めるようにしているWebサーバといわれるコンピュータや、メールを世界中に送信できるメールサーバといわれるコンピュータ、さらには、動画が閲覧できたり、音楽が聴けたりするサービスを提供するコンピュータなどがあります。
WANでも世界中と接続することは可能ですが、あくまで自社内などのある組織が独自で使うネットワークであり、これは閉域網という考え方です。
しかし、インターネットは、誰でも接続が可能な公衆網という考え方になっています。
WANと同様に通信事業者と契約し、通信速度に応じた月額を支払って接続することになります。
インターネットの素晴らしい点は、例えば、日本にいたとしても、海を越えて海外のホームページを見たり、SNSに代表されるような他国で生まれたサービスを利用できる点にあります。
ただ、デメリットというと、WANでは、通信速度が保証される帯域保障や、通信が重くなったりすることがありませんが、インターネットは「ベストエフォート」といって、日本語にすると「最善を尽くす」という曖昧な定義になっているので、ある一定の通信速度が必ず必要であったり、通信が遅くなったりしてはいけないようなサービスには向きません。
また、誰でも接続できるということは、悪意のある人でも接続できてしまうため、通信を覗き見されてしまったり、中身を改変されてしまったりする可能性もありますので、対策が必要です。
とはいっても、WANサービスの数十分の一の月額で使えますので、対策さえしっかりしていれば、これほど便利なネットワークはありません。