案件の奪い合い、低単価、AIの波──この業界は甘くない。
でも僕は、そこで立ち止まらなかった。
数字と戦略を武器にすれば、荒れた海の中にも“追い風”は吹く。僕が副業としてWebデザインを始めたのは35歳のとき。
経験ゼロ、Photoshopの使い方も分からない状態からだった。
周囲は口をそろえて「やめとけ」と言ったけれど、僕はその言葉を
“挑戦者の関所”のように受け止めた。データは僕を裏切らなかった。
経産省の報告書には「IT人材は2030年までに約79万人不足」とあったし、
クラウドワークスの最新レポートでも、副業デザイナーの3人に1人が
半年以内に月10万円を超えているという数字が出ていた。つまり、「やめとけ」とは、“無策なまま始めるな”という警告に過ぎない。
僕はその声を恐れではなく、“地図を手にする合図”として受け取った。
そして半年後、手探りだった僕のマウスの先には、確かな“自由の輪郭”が見えていた。
導入──「やめとけ」の夜と、逆転の朝

同僚「Webデザイナーの副業?やめとけよ。競争エグいし、AIに仕事奪われるぞ」
その言葉が胸に落ちた瞬間、心の奥に冷たい水が流れ込むようだった。
画面に映るPhotoshopのキャンバスが、まるで自分の未来のように真っ白で、どこから手をつけていいか分からなかった。
それでも、僕はその夜マウスを握りしめた。負けず嫌いというより、「自分の力でお金を生み出す感覚」を諦めきれなかったからだ。
翌朝、僕は数字に救われた。
経済産業省の調査では、日本のIT人材は2030年に最大79万人不足するという。※1
クラウドワークスのレポートを見れば、Webデザイン案件の需要は前年よりも増え、
継続して活動している副業者の平均月収は約9.8万円。※2
つまり、「やめとけ」という言葉は、正確にはこう訳せる。
“無策で飛び込むな。戦略を持って進めば、まだ席は空いている。”
僕はそのデータを見ながら、ふと海を渡る小舟の光景を思い浮かべた。
波は高い、風も強い──でも、航海図(戦略)とコンパス(数字)があれば、沈まない。
あの夜、同僚の「やめとけ」は僕にとって“嵐の前の静けさ”だった。
そして翌朝、データという羅針盤を手に、僕の副業航海が始まったのだ。
1. 「やめとけ」が生まれる“3つの現実”

① 競争は激しい(=埋もれやすい)
Webデザインの世界は、いまや静かな戦場だ。
クラウドワークスやランサーズでは、ひとつの案件に100件以上の応募が並ぶことも珍しくない。
数字で見ると、主要クラウドソーシングの登録デザイナー数はこの3年で約2.8倍に増加。※3
つまり、この世界では「スキルがある=仕事が取れる」とは限らない。
船の数が増えれば、港は混む。波の立たない場所でじっとしていれば、視界から消えていく。
“埋もれる”という表現はまさにその通りだ。
でも僕はこう思っている。
競争が激しいということは、「それだけ人が集まるほどの価値がある」という証拠でもある。
市場が縮んでいるなら「静か」だが、それはもう稼げない場所の静けさだ。
だから僕は、“喧騒の中で存在感を出す方法”を探すようになった。
そして、それが次のステップへの鍵になる。
② 単価のレンジが広く、初期は低くなりがち
最初の壁は、単価の現実だ。
バナー1枚の報酬は3,000〜10,000円前後。※5,6
LP(ランディングページ)制作は、構成・文案・デザイン範囲によって30万〜60万円前後と幅が広い。※7,8
初心者の頃は、この数字を見て落ち込む人が多い。
「3,000円の案件に何十人も応募してるのか…」と。
僕も最初の仕事は、2,000円のバナーだった。
でも、ここで大切なのは“どこで勝負するか”。
データが示すように、特定分野に特化したデザイナーの平均単価は+42%(クラウドワークス調べ)。
単価が安いというのは、
まだ「信頼」という燃料を積んでいない船の状態。
実績を積み、分野を絞り、クライアントと再会を重ねるほどに、その燃料は自然と満ちていく。
“低単価の季節”は、すべてのデザイナーが通る助走期間にすぎない。
③ AI普及で“単純作業”は縮小
そしてもうひとつの現実が、AIの波だ。
Canva、Adobe Firefly、Figma AI──ツールはどんどん進化している。
大手企業では、生成AIの導入で制作リードタイムが1/3に短縮した例もある。※9,10
かつて“人の手で整えること”が仕事だった作業は、いまやAIが数秒でこなす。
だが、ここでも数字の裏には希望がある。
Adobeの調査によれば、AIを活用するデザイナーの生産性は平均23%向上し、
“クリエイティブな提案”に割ける時間が増えている。※10
僕の感覚で言えば、AIは敵じゃない。
それは海を照らす灯台のようなものだ。
暗闇の中、方向を示してくれるだけで、舵を取るのは人間だ。
だからこそ、これからは「デザインする人」ではなく、「目的をデザインできる人」に価値が移っていく。
そのシフトを掴める人が、次の波に乗る。
2. それでも僕が踏み出した理由(数字が背中を押した)

僕がWebデザインの副業を始めたのは、35歳の冬。
職業は営業、デザインの「デ」の字も知らなかった。
それでも、子どもが寝静まった深夜、ひとりリビングの照明を落として
パソコンの明かりだけを頼りに学んでいた。
教材とソフトを揃えて初期投資は約3万円。
結果、最初の3ヶ月の報酬合計は8,000円──。
正直、冷静に考えれば割に合わない。
「時間単価」で見たら、僕の時給は300円にも満たなかった。
それでも続けたのは、感情ではなく、数字が僕の背中を押したからだ。
経済産業省のレポートには、
「2030年、日本のIT人材は最大で79万人不足する」と明記されていた。※1
僕はその数字を見て思った。
「仕事がない」のではなく、「仕事を任せられる人が足りない」のだと。
さらに市場データを掘ると、クラウドソーシングの案件単価には
“天井がなく、広がりがある”ことが見えてきた。
バナー制作は3,000円から、LPデザインは30万〜60万円と幅があり、※5,7
その差を決めるのはスキルよりも“信頼と提案力”。
つまり、努力が報われる構造がちゃんと存在していた。
僕は営業職時代から数字を扱う仕事をしていたから、
データを見れば“伸びる市場”がどこかはわかる。
そしてWebデザインのグラフには、確かに右肩上がりの線が描かれていた。
その瞬間、心の中で何かが弾けた。
“これは無理ゲーじゃない。条件付きのチャンスだ。”
そう確信した僕は、
夜のリビングを「諦めの場所」から「再挑戦のアトリエ」に変えた。
僕にとってデザインは、最初から夢ではなかった。
生活を立て直すための現実的な選択だった。
けれど、数字が現実を希望に変えてくれる瞬間が、確かにあった。
その日から、僕の副業人生は静かに動き始めたのだ。
3. 半年で月10万円に届いた“3つの切り替え”

副業を始めたばかりの頃、僕はまるで“雑貨屋”のようだった。
バナー、LP、サイト、チラシ──頼まれれば何でも引き受けていた。
でも、それでは市場の波に埋もれるだけだと気づいたのは、始めて3ヶ月目のこと。
データを分析し、提案の通りやすさを比べたら、明確な勝ち筋が見えてきた。
そこから僕の副業は、少しずつ「仕事」から「設計」に変わっていった。
切り替え1:「なんでも屋」→「分野特化」
最初は「どんな仕事でもいいから受けたい」と思っていた。
でも、同じ提案文を100人が出す世界では、“平均”は存在しない。
あるとき、美容系サロンのLP案件に応募したとき、
クライアントの要望を深読みし、「課題 → 仮説 → 構成案 → 効果指標」までセットで提案してみた。
それが当たり、そこから一気に風向きが変わった。
以降、僕は「美容・教育系LP」に特化。
自分の得意分野を“旗印”として掲げた瞬間、受注率は体感で2倍以上になった。
データを見ても、分野を絞ったLP案件は一般的に30万〜60万円帯。※7
つまり、特化とは「狭めること」ではなく、“光を集中させること”だったのだ。
拡散していた光を一点に集めると、熱が生まれる。収入も信頼も、そこから立ち上がった。
切り替え2:「一回きり」→「リピート設計」
最初の頃は、仕事を取るたびに「また最初から信頼を積み上げる」生活だった。
でもある日、営業職時代に上司が言った言葉を思い出した。
「リピーターを作れない人は、常に新規を追い続ける奴隷になる。」
あの一言が脳裏をよぎった。
そこで僕は提案文に「次回も使えるテンプレート化」「ABテスト前提」「修正は48時間以内対応」など、
“またお願いしたい”と思わせる条件を盛り込んだ。
結果、3ヶ月目以降のリピート率は約30%に到達。
単価も「新規 < 継続」になり、毎月の収入が安定していった。
仕事を積み上げるのではなく、信頼を循環させる設計に変えた瞬間だった。
副業は、スキルの戦いではなく「信頼の再生産」なんだと実感した。
切り替え3:「隠れた実績」→「可視化された実績」
どんなに努力しても、見られなければ存在しないのと同じだ。
だから僕は、“実績を表に出す勇気”を持つことにした。
X(旧Twitter)に毎週1回、制作ノートやビフォー・アフターを投稿し、
デザインの裏にある思考を言語化した。
3ヶ月後、初めてDM経由での直接依頼が来た。
あの通知の音はいまでも覚えている。
そこから、プラットフォーム依存の働き方から一歩抜け出し、
自分のブランドとして仕事を受けられるようになった。
まるで、「波に流されるサーファー」から「波を選ぶサーファー」に変わったような感覚だった。
実績を見せることは、自己主張ではない。
「ここにあなたの問題を解決できる人がいる」と伝えるための合図だ。
デザインとは、信頼の可視化。
それに気づいてから、僕の副業は“受け身”から“選ばれる”側に変わった。
4. データで見る「やめとけ」の裏返し──ここがチャンス

「やめとけ」という言葉は、まるで曇った鏡のようなものだ。
角度を変えれば、同じ鏡に“希望の光”が映り込む。
実際、数字を丁寧に追っていくと、そこには“裏の現実”が潜んでいる。
| 現実 | ネガ | 裏のチャンス |
|---|---|---|
| 競争増 | 応募過多で埋もれる | 市場自体は拡大。副業・フリーランス人口は前年比+21%※3,4 |
| 単価レンジ広 | 初期は低単価 | 分野特化と範囲設計で上位レンジに到達(LP案件は30〜60万円帯)※7 |
| AI普及 | 単純作業の価値低下 | 提案・UX・ブランド文脈で“人間の判断力”が価値上昇。AI導入で生産性+23%※9,10 |
表だけを見ると「やめとけ」は正しい。
でも、それは“何も変えずに挑むなら”という条件付きの真実だ。
競争が増えているのは、参入者が多いからではなく、
「自分の価値を言語化できる人がまだ少ないから」だ。
単価が下がっているように見えるのは、
「安くても請ける人たちがいる領域で戦っているから」に過ぎない。
僕が半年で見た景色はこうだ。
市場は確かに厳しい。でも、
戦略を変えた瞬間、同じ海が“青く広がるチャンスの海”に変わった。
たとえば、デザイン業界を数字で見ると一見冷たく感じる。
でもその裏で、AI導入による生産性向上は+23%(Adobe調査)。
人がAIを使いこなすほど、時間は奪われず、創造に回せるようになる。
言い換えれば、「AIに置き換えられないデザイナー」が勝つ時代が、ようやく訪れたのだ。
市場が動くとき、チャンスは必ずノイズに隠れてやってくる。
“やめとけ”の声は、僕にとってそのノイズだった。
でも、データを追い続けるうちに分かったんだ。
「やめとけ」とは、“考えなしに進むな”というメッセージであり、
“正しく準備すれば進め”という裏返しでもある。
だから僕は、恐怖ではなく“設計”を選んだ。
そして気づいたんだ。
戦略を変えれば、同じ市場でも、
まるで別の景色が見える。
データの先にあったのは、“限界”ではなく“可能性”だった。
5. 今日から動く人へ──数字で折れない3ステップ

「副業で稼ぐ」と聞くと、多くの人が“才能”や“センス”を想像する。
でも、実際に結果を出す人たちは、才能ではなく設計図を持っている。
それは、嵐の海に出る前にコンパスを手に入れるようなものだ。
感情の波ではなく、数字と行動のリズムで進む。
ここから紹介する3つのステップは、僕が半年で月10万円を掴むまでの“現実的な航路”だ。
- 【30日目】基礎 × 模写 × 10作
まずは“手を動かすこと”が目的だ。
FigmaやPhotoshopのショートカットを身体に染み込ませながら、
優れたLPを10本模写しよう。模写は、ただの練習じゃない。
それは、プロの思考をトレースする最高の教材だ。
「この余白はなぜここにあるのか?」「この色はどんな心理を狙っているのか?」
そうやって構成を“言語化”していくと、
デザインが「感覚」ではなく「戦略」に変わっていく。
最初の30日は、焦らず“目と手を育てる”時間だ。 - 【60日目】分野特化 × 提案フォーマット化
次の30日間は、“勝てる土俵”を作るフェーズ。
なんでも屋ではなく、「美容」「教育」「店舗LP」など、自分が理解しやすい分野を選ぶ。
そして、案件提案を課題 → 仮説 → ワイヤー → KPIの流れで固定化する。僕の提案書は、最初こそぎこちなかったが、
回数を重ねるごとにクライアントの返信率が上がっていった。
人は、完璧なデザインよりも“自分の課題を理解してくれる人”を選ぶ。
分野を絞ることは、自分を制限することではない。
それは、深く掘って「信頼の井戸」を掘る行為だ。 - 【90日目】可視化 × 直案件導線
ここまできたら、あなたの努力を“見える形”にする。
作品をポートフォリオにまとめ、X(旧Twitter)で発信しよう。
「ビフォー・アフター」や「制作の裏話」を添えるだけで、共感が生まれる。実際、僕も固定ツイートとGフォームを設置してから、
初のDM直案件を獲得した。
案件が舞い込む瞬間は、まるで嵐の夜を越えて朝日が差し込むようだった。
見せることは“自慢”ではない。
それは、自分の航跡を示す灯台になる。
目安の時間とコスト:週10〜15時間、初期投資3〜5万円(教材・ツール代)。※7,11
副業は、速さを競うレースではない。
一歩ずつでも、方向を間違えなければ確実に目的地へたどり着ける。
もし今、あなたが「自分にできるだろうか」と迷っているなら、
まずは30日、ひとつの小さな航海に出てほしい。
その一歩が、あなたの人生の地図を塗り替える最初の線になる。
まとめ──「やめとけ」に勝つ方法

“やめとけ”という言葉は、挑戦の入り口で必ず聞こえるノイズだ。
それは、変化の前に吹く向かい風のようなもの。
でも覚えてほしい。向かい風は、進む者にしか吹かない。
僕はその言葉に何度も立ち止まらされた。
案件が取れずに夜中までデザインを修正し続けた日もあったし、
家族に「本当に大丈夫?」と心配されたこともある。
それでも手を止めなかったのは、数字が僕の希望の証拠だったからだ。
経産省のレポートには、2030年にIT人材が79万人不足すると明記されている。※1
クラウドワークスのデータでも、副業デザイナーの平均月収は継続半年で約9.8万円。※2
データは冷たく見えるかもしれない。
でも、僕にとってそれは「感情に溺れず、現実を切り開くための羅針盤」だった。
その羅針盤を頼りに、一歩ずつ舵を切った結果──
半年後、僕の副業収入は月10万円を超えた。
特別な才能なんて、何ひとつなかった。
あったのは、地図を描きながら歩く勇気だけだ。
劇的な逆転とは、派手な奇跡ではない。
それは、「昨日より1ピクセルだけ前に進む」行動を繰り返すことだ。
小さな積み重ねが、いつの間にか人生のレイアウトを変えていく。
もし今、あなたの耳にも「やめとけ」という声が届いているなら、
その言葉を恐れず、データで希望を上書きしてほしい。
そして、次の一歩を“設計”して踏み出してほしい。
未来は、誰かの忠告で止まるものじゃない。
自分の意思と数字で、いくらでも描き変えられる。
僕が証明したように──
“やめとけ”の先に、本当の自由はある。
FAQ

Q. 本業と両立できますか?
A. もちろん可能です。
実際、僕を含め多くの副業Webデザイナーは週10〜15時間の稼働で回しています。※11
ポイントは「時間の量」ではなく、「リズムの設計」です。
朝の出勤前に1時間、夜に1.5時間──それを“呼吸するように”続けるだけでも大丈夫。
デザインの世界は、筋トレと同じで「長時間よりも継続」が効いてきます。
納期を守るためには、テンプレート化された提案文や進行表を使えば負荷を大きく減らせます。
本業のスキル(段取り・プレゼン・信頼構築)も、副業でそのまま活かせる。
副業とは、時間を奪うものではなく“時間の質を再設計する場”です。
Q. 未経験でも大丈夫?
A. 僕も未経験から始めたので、断言できます。
Webデザインは、実は「ゼロからの逆転」がしやすい業界です。
なぜなら、価格レンジが広く、“努力を見せれば登れる構造”になっているからです。※5,7
最初の3ヶ月は、稼ぐことよりも「慣れること」を目的にしましょう。
模写・小さな案件・SNS発信──この3つを回すだけで十分。
3ヶ月後、自分のスキルと感覚が確実に変わっているのが分かるはずです。
未経験というのは、言い換えれば“クセのない白いキャンバス”。
経験者が消せない線を、あなたは最初から描き直せる。
怖さは、伸びしろの別名です。
一歩踏み出せば、その白い画面に最初の色が灯ります。
Q. AIで仕事はなくなりませんか?
A. よく聞かれます。でも、答えは「No」です。
確かに、AIによって単純作業は減っています。
けれど、その分“人間がデザインする理由”が明確になった。
生成AIを活用する企業では、制作リードタイムが1/3に短縮したというデータもあります。※9,10
つまり、AIはデザイナーの仕事を奪う敵ではなく、
「スピードと発想力を掛け合わせるパートナー」なんです。
そして、AIには決してできない領域があります。
クライアントの意図を読み取り、ブランドの温度を感じ取り、
“言葉にできない想い”を形にすること。
それは、数字では測れない人間の力です。
僕が見てきた限り、AIを味方につけたデザイナーほど、仕事の幅も報酬も広がっています。
時代の波に怯える必要はありません。
波に飲まれるか、波を利用して進むか──その違いを決めるのは、
恐れではなく、舵を取る勇気です。

